【HN16】
大和川
大阪市と堺市を分ける大和川の橋を越えると、この沿線では珍しく建替えられた駅がある。
しかし、大和川に架かる橋梁は明治時代の創業当時の姿を留めており、御歳80歳の年代物の電車が走る姿はピッタリとはまり、正にタイムスリップの感がある。
【HN17】
高須神社
坂を下り、しっかりとした朱色に塗られた高須神社が東側に見えると駅に着く。
「じんじゃ」ではなく正式には「じんしゃ」らしくアナウンスもそう放送している。昔は鉄砲鍛冶の居住区があった所で、その地区を守る神社でもあったらしい。
【HN18】
綾ノ町
電車がカーブをして駅に着く。ここから7駅区間は、ほぼ一直線に南北に続くだだっ広い大道筋の路面を、ひたすら続けて走る事になる。
道路中央を走る専用軌道の両側には季節の花が植えられ、街にアクセントや彩りをそえている。
【HN19】
神明町
この地区は古い民家が残り、寺院も多く歴史的な雰囲気を醸し出している。
大道筋は道幅が広過ぎて街並みと人や電車とがスケールアウトしているが、この年代物の電車がこの辺りを走ると、線路敷きの草花も相まって、よく似合う風景になるから不思議だ。
【HN20】
妙国寺前
大道筋を電車が走り抜け、駅が続いていく。
妙国寺には国の天然記念物に指定された蘇鉄があり、蘇鉄寺とも呼ばれている。また、堺刃物伝統産業会館も近くにある。しかし、駅名看板の下の広告募集が空白なのが寂しく、長い歴史がある街なのに残念だ。
【HN21】
花田口
フランシスコ・ザビエルにちなんで命名されたザビエル公園の緑あふれる場所に駅がある。
毎年10月に行われる堺まつりの「なんばん市」会場としても有名で、堺まつりの中心地でもある。
【HN22】
大小路
南海電車の堺東駅へ続く東西の大小路との交差点にこの駅がある。堺市のビジネルの中心地域でビルも多い。
堺市の市花であるツツジが咲き乱れる中、新型「モ601型」と旧型「モ161型」の電車のすれ違いは、この阪堺線の長い歴史を感じさせる。
【HN23】
宿院
近くに千利休屋敷跡や与謝野晶子の生家跡があり、歴史的にも堺の中心地だった所である。
直行するフェニックス大通りの宿院頓宮の灯篭を東に見て、電車は更に南へと走って行く。
【HN24】
寺池町
駅の東側のガソリンスタンドに、有名な「堺の灯台」を模したレプリカが建っている。
単調なこの大通りにインパクトを与えていて好感が持てるし、企業主の堺への愛着が感じられる演出である。
【HN25】
御陵前
永らく続いた大道筋ともこの駅でお別れになり、再び専用軌道敷に入って行く。
駅名は東側に広がっている御陵や古墳群を意識して付けられたらしい。駅のすぐ東側にある南宗寺は、千利休が茶道の修行を行った寺として有名である。
【HN26】
東湊
ガラッと車窓の景色が変わり、電車は再び住宅地の中を走るようになる。
この辺りまで来ると郊外電車の様相を呈し、スピードも出して走る。踏み切りもあり、住宅地の庶民の足として復活したような感じがする。
【HN28】
石津
沿線では大和川に次ぐ、大きな石津川をチンチン電車がゆっくりと走る。
黄色の車体に白の雲がペイントされた定番の雲型電車が走ると、景色に馴染んで可愛らしく、微笑ましくて、思わず足を止めて見てしまう光景である。
【HN29】
船尾
ホームを住民が日常的に通路として使っていて、子供を乗せた自転車が何の違和感もなく通り抜けて行く。
地域に共存し、庶民の足として愛されている阪堺線ならではの自然な光景である。
【HN31】
浜寺駅前
子供の頃、始発天王寺駅から終点浜寺駅までこの電車に乗り、浜寺プールに来たことがよくあった。たまねぎ畑の中をひた走り、熱風と居眠りの中、とてつもない時間を掛けて行った記憶が蘇る。
正面の南海電車の浜寺公園駅は明治時代の有名建築で、大切にされ今も現役で使われているのがうれしい。
停留場番号【HN27】と【HN30】は欠番となっており、現在は存在しないようです。