【HN51】

えびす町

 駅の端に列車の司令塔の建物がある。築年数が分からない年季の入った板張りで、実に味わいがあり懐かしい感じがする。

 2本のレールを柱として使い、Yの字で屋根を支える昔の定番の駅舎の形と共に歴史を刻んでいる。





【HN52】

南霞町

 大阪環状線の新今宮駅の高架トンネルを越えるとすぐに駅がある。交通量の多い道路と直行している。

 近くにはジャンジャン横丁があり、近頃は庶民の街として復活し、串カツの店がたくさんできて賑わっている。



【HN53】

今池

 春には菜の花が咲き誇る両側の土手を駆け上がっていくと、沿線でも珍しい高架の駅が現れる。

 今も色濃くディープな雰囲気を残す高架下の喧騒に満ちた街を見下ろし、電車は我関せずと平然と走っている。



【HN54】

今船

 坂を下り切るとこの駅になる。イスも自動販売機もない。何の変哲もなく、駅舎としては沿線で一番愛想がなさそうな駅である。

 ここから我々が強いイメージを抱くいわゆる「西成」の街を離れて行く。



【HN55】

松田町

 西成から天下茶屋へと昔ながらの庶民の街が続いている。その真っ只中の地域に駅がある。

 家々の軒が迫る中をゆっくりと抜けて行く電車は、街のスケールやスピードにピッタリと合っていて、長らく変わらない風景を作っている。

 車両も「何でもあり」でカラフルなコテコテの大阪らしいデザインがよく似合っている。



【HN56】

北天下茶屋

 下町の風情が色濃く残る昔ながらの商店街の中に、何の違和感もなく駅がある。

 車が寄り付けないこともあるが、踏み切りに遮断機が付いていない。それでも皆平気で、危険な感じはしないし、地域の足として完全に認知され、共存している様子がよくわかる。



【HN57】

聖天坂

 大きな3本の木(メタセコイヤ2本、クスノキ1本)に包まれるように上り車線の駅舎がある。

 この辺りは大阪でも緑が多い地域で、東側は大阪市内では珍しい大きな聖天山風致地区が拡がっていて、高級な住宅地になっている。



【HN58】

天神ノ森

 駅の北側に天神ノ森天満宮がある。境内には大きなクスノキが生い茂り、駅からも圧倒的で清々しい眺めである。

 天満宮なので菅原道真公を祭る神社だが、安産祈願のご利益もあるようだ。



【HN59】

東玉出

 南海高野線の高架をくぐって、専用線路敷から広い道路の真ん中を走る路面電車に変わる。

 駅の東側にキリスト教の玉出教会があるため、心なしか電車も厳かに走っているように感じる。



【HN60】

塚西

 西成区と住吉区を南北に分ける柴谷平野線(南港通)の大通りに駅がある。

 一般の車と一緒に一直線に信号待ちをして、負けじとばかりにスタートラインに並ぶ約50年選手「モ501型」の黄色い雲形の姿は、いじらしくも頼もしくある。



【HN61】

東粉浜

 伸びやかで広い道路の中に駅がある。しかし、この区間の軌道は広い道の真ん中ではなく、西側に片寄っているので、車も軌道敷を走らざるを得ず少し危険だ。

 ビルや商店街、民家やマンションが渾然と立ち並ぶ、いわゆる町中をゆっくり進んで行く。



【HN10】

住吉(乗換指定駅)

 歴史を感じさせる格調ある木造の駅舎である。

 道路脇に建っていて、小振りで温かみのある建物だ。阪堺線に残っている駅舎の中でもデザイン的に価値のある建物は、この駅と姫松駅ぐらいしかない。